「Art in Hospital スウェーデンを旅して」山本容子
図書館で借りてきた本です。
何年か前、家族が入院して手術を受けたとき、手術の待合室が何とも言えず、殺風景で寒々しかったことを覚えています。
せめて壁が真っ白じゃなくて、柔らかいパステル調だったり、風景や花などの絵が1枚でもあれば、もう少し不安もやわらいだんじゃないかと思いました。
以来、何となく、病院に行くと、絵とか、花とか、壁とかが気になるようになりました。
この本の著者の山本容子さんは、20年前にお父様が亡くなられた後、病室のベッドに横たわってみられました。そして、そこで無味乾燥な天井を見たことをきっかけに、Art in Hospitalに関心を持つようになられたそうです。
この本には、山本さんが取材して来られた、スウェーデンの病院の写真がたくさん載っています。スウェーデンには「公共建造物は建設費の1%をアートに使わなければならない」という法令があるそうです。
病院のフロアごとに色分けがされていたり、ネオンアートがあったり、集中治療室の前に光ファイバーのキラキラした光が降るスペースがあったり…。
こんな空間なら、もう少し穏やかな気持ちで手術も待てたように思います。
特に、ストックホルムのある小児病院が素晴らしいと思いました。
- ギャラリーがあって、自分の好きな絵を選んで自分の病室に飾れる。
- 図書室には木が作ってあって、きのこの形の椅子がある。
- 廊下には、ずーっと動物の絵が続いている。
- 処置室の天井には、青空が描かれている、などなど。
日本の例では、山本さんが描かれた、素敵な天井画や壁画の写真も載っていました。病院の中のアートは、患者や患者の家族のためだけでなく、そこで働くスタッフのためのものでもあるんですね。
ただ、アートには好みもあるし、ある程度の水準や統一感も必要となると、予算や選定などいろいろ問題もあるようです。
少しずつでも、心地よく癒される空間が増えていってくれるといいなと思います。
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